この秋、ベルギーに2週間ほど滞在する機会がありました。ホテルではなく、研究機関のゲストルームに滞在していたため、ほぼ毎日自炊の生活。そのため、スーパーやマーケットにもよく通いました。
初めに感じたことは、ベルギーはイギリスよりも環境意識が高いということです。買い物に行くと、商品を選ぶことよりも、そのエコな取り組みに思わず目がいってしまいました。
プラスチック包装を極力排除

野菜果物やパンはプラスチックではなく、再生紙の袋に入れられていることが多かったです。ですから持ち帰る時にはちょっとした注意が必要です。
ある時、山盛りに入っていたイチゴを一箱買ったのですが、やはりプラスチックのカバーやラップが付いていないものだったため、途中でコロコロとバックの中でこぼれてしまいました。家に帰ったらコットンバックだけでなく、洋服にまでつぶれたイチゴのシミがついてしまいました。(幸い、すぐに落ちましたが。)
ベルギーのスーパーでは、2022年の年末までに食品パッケージにラップを使用することが禁止になるということです。代わりに、生物分解できるものや、リサイクル可能な素材が使われるようになるそうです。これは、かなり画期的なことだと思いました。
ばら売り野菜果物コーナーの取り組み
また、野菜や果物は量り売りやバラで売られているものも多いです。これはイギリスでも多くのスーパーで取り入れられているシステムなのですが、イギリスの場合は量った後はビニール袋に入れ、値札のシールを自分で付けます。ですからプラスチックを減らすことにはつながっていません。
しかし、ベルギーのこのスーパーでは再生紙の袋に入れるか、口紐のついたガーゼの袋に入れるという選択肢がありました。このガーゼの袋は、1つ50セント(約60円)で売られています。(ベルギーのスーパーでは、2019年12月から野菜果物コーナーでビニール袋を置くことが禁止されています。)


このガーゼの袋は洗えるので、何度でも使えます。ばら売りの野菜果物以外にも、箱に入った山盛りのイチゴを持ち帰る時にも役に立ちそうです。また、ガーゼは通気性がいいので、野菜の保存袋としても使い勝手が良さそうですね。
イギリスでも最近(2019年8月)、ドイツ系スーパーLidlで、ばら売り野菜果物用としてポリエステルのネット袋(Green bags)の導入が決まったそうです(2袋セットで約90円)。使い捨てのビニール袋よりはるかによいのですが、ポリエステルは原材料が石油なので、どこまで消費者が繰り返し使うかが鍵となりそうです。
日本のプラスチック対策の現状
日本の状況を調べてみたら、プラスチックのレジ袋については、来年(2020年)7月から全ての小売店に有料化を義務付ける方針がまとまったようです。レジ袋の価格設定については、それぞれの事業者に任されるとのこと。

この使い捨てのプラスチック袋は、イギリスやヨーロッパの国々ではすでに使用が禁止され、お店には置かれていないものです。それが、いまだに使用されているだけでなく、無料配布しているお店もあるとは…。プラスチック削減への取り組みが、1歩も2歩も遅れている現状にショックを覚えました。
日本は、国民一人当たりの使い捨てプラスチック消費量がアメリカに次いで世界で2番目に多い国です。私はアメリカに住んでいた時期もありますが、日本もアメリカも快適さ、利便性を追求する傾向がとても強いと思います。それ自体は悪いことではありませんが、そのことと環境対策への遅れはどこか関係しているように思います。
例えば先ほどのイチゴのシミ。日本では起こりえないことです。雨が降ればデパートでは紙袋にビニール袋をかけてくれ、コンビニでは熱いものと冷たいものを別々のレジ袋にいれてくれる国ですから。
日本の接客サービスは、間違いなく世界一です。でも、そのちょっとしたサービスが、どのようなインパクトを環境に与えているのかに気付けば、私たちは多少の「不便さ」を喜んで引き受けられるのではないでしょうか?しかも、ちょっと工夫すればクリアできる問題ばかりなのです。
まずは、プラスチックがどのような深刻な問題を引き起こしているかという現状認識を一人一人が持つことが第一歩だと思います。そして、有料レジ袋を買うのではなく、買い物バックを持って買い物に行くことから始めてみませんか?
私の住む街では、高校のエコクラブがプラスチックの使用を減らそう!と数年前に町議会のミーティングのアジェンダにスーパーのプラスチックの袋をなくすこと、使い切り16オンスの水用ペットボトルを街のスーパーやコンビニで売らないことの二点をあげました。それが多数決で通り、去年から実施されています。他の町でもプラスチックの袋を使わないお店が増えてきました。
それでもまだまだプラスチックは日常の中に溢れてますね。
エラ様
コメントありがとうございます。
高校生の働きかけによって、街が変わっていく。
とてもいいことですね。
大人が高校生の声に、ちゃんと耳を傾けているのが素晴らしいと思いました。
さて、ペットボトルにはリサイクルマークがついていますが、一体どのようにリサイクルされているのか気になります。
これまでは、「リサイクルされたペットボトルは、新しいペットボトルになる」と思っていましたが、高校生がそのような提案をしたということは、そうではないってことなのかもしれませんね。
「リサイクル」という言葉は、いろんなレベルがあるので、実は要注意。
プラスチックは、本当に気になりだすとそこら中にあることに気付きますよね。
アメリカも日本もプラ消費大国ワースト1&2なので、みんなの意識を変えていくことが本当に初めの難所のように感じています。
霧立灯